在宅死を看取る介護
いくら手厚いお世話をしても、人の命には限りがあります。死を迎える本人も、送る側も、できるだけ悔いのない、安らかな状態で終末期を過ごせるようにと願っています。
次第に状態が悪くなってきても、お年寄りが希望し、また医師も応じてくれれば、家庭で死を看取ることができます。お年寄りにとっては、住み慣れた家で親しい人達に囲まれて最期を迎えられるという幸福感があり、大部分の方が眠るように、穏やかに死を迎えておられます。また、介護者の方も、ほとんどの方が、家庭で看取ることができたという満足感を得られています。
死に直面したお年寄りは、少なからず死に対する不安を抱いているものと思われます。必ず誰かがそばに付き添い、手をとって、最期まで耳元で静かに語り掛けましょう。応答は無くてもかまいません。お年寄りの心が少しでも穏やかになるものと思われます。
意識がもうろうとして飲み込みが悪くなったら、無理に水などは与えず、義歯ははずして水に浸しておきます。(窒息予防。)
意識がないように見えても、耳は聞こえていることが多いので、お年寄りの悲しむような言葉や態度は謹みましょう。

危篤・臨終に際してすべきこと
  • 親類や、親しい友人などに手際よく連絡します。(特に会いたがっている人があれば、まだはっきりしているうちに会うことができるように、早めに連絡します。)
  • 呼吸に変化があったり、脈が触れにくくなるなど容体の変化があれば、かかりつけの医師に連絡します。
  • 医師が着く前に呼吸が止まったら、その時刻を記録しておきます。
  • 医師に死亡の確認をしてもらい、死亡診断書をお願いします。
  • 医師によって死亡が確認されたら、唇を水で潤します。”末期の水”です。(割り箸の先に綿を巻きつけたものか、真新しい筆の先を茶碗の水に浸し、故人の唇を軽く潤します。肉親、近親者、友人の順に行います。)
  • 死後硬直がこないうちに、死後の手当てをして遺体を清めます。(死後硬直は死後2〜3時間ぐらいから始まり、あご、首、手、足とだんだん下方へ進みます。)
  • 死後の手当ては葬儀社にしてもらうこともできますが、家族の手で身じまいをきれいにしてあげた方が何よりですし、入棺の時に人前で身体を見せなくてすみます。
  • 自宅で最期を看取る場合は、その旨を必ず親類に知らせ、あとでトラブルが生じないようにしておきましょう。
死後の手当ての手順
  1. 下腹部を圧迫して尿・便を出し、湯を使ってきれいに拭き取り、肛門に割り箸で綿を詰める。
  2. 脱脂綿にアルコールをつけて(なければ湯でよい)全身を拭く。床ずれなどの傷があれば、当てているガーゼをきれいなものに取り替える。
  3. おむつを当て、カバーも付け、新しい下着、愛用の着物を着せる。(打ち合わせは左前、紐はタテ結びにする。)
  4. 口に割り箸で綿を詰め、義歯を入れる(頬の内側に綿を入れると、ふっくらとして見える)。鼻、耳にも割り箸で綿を詰める。目が開いている場合は、綿を薄くして上まぶたの下に入れて閉じる。
  5. 整髪(乱れた髪もアルコールで拭いて櫛でとかすときれいになる)、男性ならひげそり(傷つけないように慎重に)、女性なら薄化粧(白粉、まゆ、口紅など)をする。
  6. 爪を切り、手は胸の前で組む。はずれる場合は手首を包帯で結び、硬くなったらはずす。
  7. 高い枕をすると口が閉じる。閉じにくい場合はタオルを丸めてあごの下に入れる。それでも開く場合は包帯であごから頭頂にかけて結び、硬くなったらはずす。
  8. 白い布を顔にかける。
死後の手続き
  • 葬儀社、寺(または教会)に連絡して、葬式の日時などの段取りを決めます。前もって葬儀社との打ち合わせをしておけば、ほとんどの全ての手当てや手続きをしてくれます。入棺の時に人前で身体を見せないように依頼しておきます。
  • 死亡診断書・死亡届を役所に提出し、埋葬許可証をもらいます。
  • ご遺影は本人が気に入っているものなどを用意します。
  メディカルレビュー社刊
「イラストでよくわかる介護のポイント」より
阿部美智子著
大川老人訪問介護ステーション所長
西原和代著
香川県ケアマネージメントセンター(株)取締役